「2018年度 生産性革命・人づくり革命・地方創生の実現に向けた規制・制度改革の意見」を提出
日本商工会議所(三村明夫会頭)は、このたび標記意見をとりまとめ、本日(26日)、政府・規制改革推進会議の大田弘子議長に手交したほか、安倍内閣総理大臣をはじめ関係各方面に提出した。
本意見は、昨年10月に、全国各地の商工会議所を対象にアンケート調査を行い、寄せられた意見等をまとめたもので、今回で6回目となる。(3月15日開催の第674回常議員会・第267回議員総会にて決議し、本日公表)
なお、過去5回の意見書では、個々の企業が直面する規制に焦点を当ててきたが、地方の疲弊が進む中で、わが国が第4次産業革命やSociety5.0といった大きな構造転換期に差しかかっていることを踏まえ、今回は、主に新たな制度づくりを提案する内容としている。
意見書を受け取る規制改革推進会議・大田議長(左)と日商・石田専務理事(右)
主な意見は次のとおり。
Ⅰ.生産性革命
1.ビッグデータ利活用のための環境整備
➢ビッグデータを利活用するための法整備等を行うこと
2.労働力不足に対応するための環境整備
➢建設分野における公共工事の発注方法を改善すること
➢自動運転技術の開発と法整備等を加速すること
3.生産性向上のための設備投資の障害となる規制の一部緩和
➢農用地区域の一部を解除する新たな制度を創設すること
➢都市計画法や建築基準法の運用を緩和すること
Ⅱ. 人づくり革命
1.外国人材の受け入れ
➢外国人材の新たな受け入れ策を構築すること
2.労働移動円滑化のための環境整備
➢解雇無効時における労働紛争解決の仕組みを創設すること
Ⅲ. 地方創生
1.農業の成長産業化
➢農業者・消費者の双方がメリットを受けられる農作物の流通構造を確立すること
➢農地中間管理機構(農地バンク)の実績を検証すること
➢株式会社による農地の直接所有を認めること
2.林業の成長産業化
➢所有者不明山林対策を講じること
➢森林経営の大規模化・集約化のための環境を整備すること
➢生産性を高めるための路網を整備すること
➢国有林の運営にコンセッション方式を導入すること
3.観光振興・インバウンドの拡大
➢史跡等の復元に関する基準の運用を見直すこと
➢訪日ビザの緩和等を進めること
4.まちづくりの推進
➢地域の新たな交通システムを整備すること
➢「激甚災害法」のあり方を検討すること
Ⅳ.規制・制度改革の加速
1.行政手続の簡素化
➢法人設立手続をオンライン・ワンストップ化すること
➢行政手続の電子化を進めるための環境を整備すること
➢補助金申請書類を削減すること
➢法律の現代語化と法律用語のわかりやすい言葉への言い替えを行うこと
2.特区制度等の整理・体系化と利活用促進
➢特区での実証実験が1年を超えた規制改革メニューを速やかに全国展開すること
➢特区制度等の整理・体系化により利活用を促進すること
➢中小企業や地域が活用しやすい「規制のサンドボックス」制度を創設すること
➢政府広報等による「規制改革ホットライン」のPRの強化と提案者へ伴走型の支援をすること
3.規制・制度改革を加速するための体制整備
➢規制改革推進会議による地方自治体への「地方版規制改革会議」設置促進の働きかけの継続・強化すること
➢規制改革白書(仮称)の作成・公表によるPDCAサイクルを確立すること
➢規制改革推進会議の常設化と勧告権を付与すること