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「社会保障における持続可能な医療制度に関する提言~医療のデジタル化と自助・イノベーションの 強化を~」を公表

 

日本商工会議所は3月17日、東京商工会議所(ともに三村会頭)と連名で、標記提言を機関決定・公表しました。

本提言は、今般の新型コロナ感染拡大により、「いのちを守ること」と「医療を守ること」は同時に達成すべき目標であるとの認識が広がるとともに、政府が全世代型社会保障制度のあり方全般の検討を開始したタイミングをとらえて、わが国の医療制度が直面する様々な課題の解決のために必要な取組みを、政府に対する提言として、とりまとめたものです。

日本の医療制度を支える「国民皆保険」の根幹である公的医療保険制度は、現役世代や事業主が加入する被用者保険(組合健保、協会けんぽ)が負担する拠出金が、高齢者が多い市町村国保や後期高齢者医療制度を支える構図となっており、今後見込まれる高齢者の増加が現役世代や事業主の負担増を招く恐れがあります。提言では、医療費負担について、年齢ではなく、支払能力に応じた形にすることを主張しています。

また、いのちを守るとともに公的医療保険財政への負荷軽減を図るためには、病床など医療資源を有効かつ適切に活用する「医療マネジメント」が必要との認識のもと、電子カルテの統合化やデータ連結の推進、マイナンバーカードの普及・活用促進等を通じた、「医療DX」の強力な推進を求めています。

さらに、公的医療保険からの給付増加を抑制するため、自分で手当てし、医療機関にかからなくても済むよう、セルフメディケーションの促進と、その実践に必要な知識と判断力(ヘルスリテラシー)の向上に向けた取組みの重要性を訴えています。

加えて、国民の健康増進と経済成長の両方に寄与する健康・医療関連産業のイノベーションを国全体で推進するため、アカデミアとベンチャー・企業が有するヒト、資金、技術が融合・循環する「ヘルスケアイノベーション創出エコシステム(仮称)」の構築、2025年大阪・関西万博を契機としたイノベーションの加速化などを求めています。

当所は、本提言を厚生労働省やデジタル庁、経済産業省など政府関係機関、全世代型社会保障構築会議メンバーなど関係各所へ提出し、実現に向けた働きかけを行ってまいります。

 

 

<提言項目>

1.公的医療保険財政構造の見直し

(1)応能負担の原則化と医療費窓口負担の公平性確保 

(2)処方・投薬の適正化による医療費削減

(3)医薬品の安定供給に向けた取組みの促進

(4)公的医療保険制度における不合理性の見直し

 

2.「医療DX」の強力な推進

(1)感染症発生報告用システム等の確実な利用促進

(2)医療資源に係る情報システムの普及拡大と新たな法的枠組みの検討促進

(3)電子カルテの統合化、データ連結の推進

(4)マイナンバーカードの普及・活用促進

(5)オンライン診療・服薬指導の取組み促進

(6)電子処方箋、リフィル処方箋の活用促進

(7)地域医療におけるデジタル実装の普及・促進がカギ

 

3.セルフメディケーションの浸透促進

(1)ヘルスリテラシーの向上による自助の促進

(2)「かかりつけ医等」の活用促進

(3)OTC医薬品や零売(非処方箋医療用)医薬品の積極的活用

(4)セルフメディケーション税制の拡充と医療費控除との統合

(5)健康経営の普及促進に向けた取組みの強化

 

4.健康・医療関連産業におけるイノベーションの推進

(1)関係省庁が一体となった健康・医療産業政策の展開

(2)産学官にわたる人材交流・流動性の促進

(3)2025年大阪・関西万博を契機としたイノベーションの加速化

(4)革新的創薬の推進

 

 

提言概要および本文は、以下のとおり。

「社会保障における持続可能な医療制度に関する提言【概要】(PDF)

 

社会保障における持続可能な医療制度に関する提言【本文】(PDF)