「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」について
平成28年2月18日
日本商工会議所
「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」について
日本商工会議所(三村明夫会頭)は2月18日、「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」を取りまとめ、内閣総理大臣をはじめ、関係閣僚などに提出する。
今回の意見では、観光が地方創生、日本再生の切り札であるとの認識のもと、地域や民間が観光に積極的に取り組めるよう、政府が国内外の観光に関するより具体的な数値目標を設定することが必要であるとの基本的考え方を示した。
具体的事項としては、インバウンドと国内観光とを車の両輪とし、インバウンド政策については、特定都市に集中する外国人旅行者を全国各地に分散・拡大するための方策などについて提案。また、国内観光では、季節的・時期的な需要格差への対応や体験型観光の促進に向け、国をあげて休暇取得キャンペーンを実施するなど、官民一体となった取り組みが必要としている(全文は以下のとおり)。
○今後の観光振興策に関する意見(骨子) 【PDF】
○今後の観光振興策に関する意見(本文) 【PDF】
○今後の観光振興策に関する意見(参考資料) 【PDF】
<主な内容>
1.基本的考え方
・観光は地方創生、デフレ脱却、成長戦略の切り札。アジアの経済成長やTPPにより生まれる
巨大自由経済圏を活かして、インバウンドを日本の成長につなげていくことが重要
・国内観光は、長期的な低迷を食い止めることが必要
・政府は国内外の観光に関する数値目標を国別、日本の地域別など具体的に設定し、観光立国への
強い意思を明確にすることが重要。それが自治体の取り組みや民間企業の積極投資を促す
2.現状認識
・高い伸びを続ける訪日外国人旅行者数と消費額は、今後も増加する見込み
・旅行者は特定地域に集中、施設等の供給が逼迫
・日本人国内旅行者数、旅行消費額は長期的には減少傾向
3.今後の重点的な観光施策の展開
(1)インバウンドの課題と対応
・特定都市・地域に集中する外国人旅行者を全国各地に分散・拡大させることが重要。
日商が昨年5月に提言した「交流拠点都市」(地域への旅行者の分散の核となる都市)を、
政府が進める広域観光周遊ルートや観光立国ショーケースで選定した都市の中から指定すべき
・東アジアのみならず、欧米など多様な国からの誘客を進め、安定的な訪日外国人旅行者数と
旅行消費額の確保が必要
(2)国内観光の課題と対応
・旅行者ニーズに対応した観光産業の経営革新(泊食分離、電子決済、IoTへの対応など)
・官民連携による休暇取得キャンペーン等、観光需要の平準化に向けた取り組みの強化
・国による観光関連基礎データの一元的な整備と提供
(3)その他今後検討が必要な課題
・河川や港湾、歴史的建造物等の未利用資源の活用促進に向けた規制緩和や、民泊などの新たな
ニーズに対応した観光関連法制度の整備が必要
・地域における観光マネジメントの推進と二次交通・宿泊施設等観光インフラ整備の促進
・観光庁と関係府省庁の連携強化によるニューツーリズムの推進、KPIの設定等を通じた観光施策の
進捗状況の見える化、ワンストップの相談・情報提供体制の構築