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【最新海外事情レポート】 ベトナムにおける投資環境改善に向けた取り組みについて(ベトナム)

    2018年のベトナム経済は、実質GDP成長率7.08%の高い数字が示すとおり、非常に好調であった。その要因としては、内資企業の発展だけでなく、海外からの投資を積極的に受け入れ、インフラ整備や産業育成に注力していることが挙げられる。

 

既に多くの日本企業がベトナムへ進出している状況下にあるが、この傾向は現在も続いており、昨年の国別の海外直接投資・FDIの認可額においても2年続けて日本が首位に立つなど高い存在感を示している。

 

    このようにビジネスで成功を収めている日本企業は少なくないが、現地の法制度や慣習の理解度等の面で苦心する企業が多いのも実情である。例えば、最新のJETROの調査によれば、ベトナムで事業を行う企業の多くが現地事業の拡大を望んでいるとの回答が多く出される一方で、労務費の高騰や原材料の現地調達や品質管理の面が課題に加え、以前に比べ改善が図られているものの、通関等の行政事務手続きについても煩雑であると認識している企業が多い。

 

そこで、日越両国の政府間合意のもと、2003年よりベトナムの投資環境を改善し,外国投資を拡大することを通じて,ベトナムの産業競争力を高めることを目的としたダイアログ「日越共同イニシアティブ」がスタートした。

 

  日越共同イニシアティブは、約2年を1サイクル(フェーズ)として取り組み、日本側は在ベトナム日本国大使館、経団連の支援のもとベトナムに進出する日本企業や各種専門家が連携し、ベトナムの政府機関に対し直面する諸課題の改善・解決に向けた提案や今後のビジネス機会創出に向けた戦略構築について、ベトナムの機関と擦り合わせのもと行動計画を定め、フェーズ毎に進捗の最終評価を両国で確認するスキームである。

 

   20187月より第7フェーズが開始、現在9つのワーキングチーム(WT)(「投資法・企業法」「司法制度改善」「土地法」「国営企業改革・株式市場改革」「裾野産業」「労働・賃金」「PPP改正」「LNG活用インフラ整備」「サービス業」)が組成され、積極的な議論がスタートしている。いずれのテーマも、ベトナムに進出する日本企業や今後進出を見込む企業にとって関心が高いものであり、ベトナムのさらなる発展に資するテーマであると両国関係者からも注目が寄せられている。


先日110日に第一回中間評価会合が開催され、在ベトナム日本国大使館の岡部公使とベトナム計画投資省ホアン外国投資庁長官の立ち会いのもと、各WTリーダーから行動計画に基づいた議論の状況について報告がなされた。

 

7フェーズが開始されて半年程度であるため、進捗度合いにバラつきはあるものの、ベトナム側からは今後の法律改正に向けて日本側の意見を取り入れていくことを検討したいとの前向きな発言が出されるなど有意義な機会となった。

 

    また、在越日本企業の代表として会合に出席したベトナム日本商工会議所の伊東会頭からは、「ベトナムの持続可能な経済成長や国民生活の水準向上に資する、質の高い投資環境の実現に向けて、実のある議論を深めてほしい」との要望が示された。今後、二回目の中間評価会合を実施し、2019年末には、第7フェーズの最終評価が出される予定である。

 


 


 

 

 

 

 

 

 

             日越共同イニシアティブ第7フェーズの

                          第一回中間評価会合の様子

 

    ベトナムの投資環境が、日越共同イニシアティブを通じて整備されることにより、さらなる日本企業の投資拡大ならびにベトナムの発展や日越両国の関係強化につながる好循環がもたらされることを大いに期待したい。

                                                   (ベトナム日本商工会議所 事務局長 木村 篤人)