「中小企業のデジタル化推進に関する意見」を公表
日本商工会議所(三村明夫会頭)は、このたびIoT・AI・ロボット活用専門委員会(委員長:岩本敏男㈱ NTTデータ相談役)を中心に、標記意見(別添参照)を取りまとめましたので、お知らせします。
政府は、デジタル庁創設後初めて、デジタル社会の実現に向けた施策を「新重点計画」として取りまとめ、12月中に閣議決定するとしています。それを受け当所として、中小企業のデジタル化を推進するため、本意見を表明するものです。
本意見の基本的な考え方および主な要望事項は以下のとおりです。当所では今後、本意見を政府等関係各所へ提出し、実現に向けた働きかけを行うとともに、中小企業のデジタル化推進に一層取り組んでまいります(12月8日に牧島デジタル大臣に手交済み)。
基本的な考え方
〇中小企業の生産性向上に向けたデジタル活用は長年の課題であった。コロナ禍でオンライン会議、テレワーク、ECなどに取り組む中小企業が増加し、デジタル活用の有用性を認識。この動きが加速するよう官民を挙げた取り組みの継続が必要。
〇デジタル庁の発足で行政のデジタル化が加速。岸田政権のもと「デジタル臨調」「デジタル田園都市国家構想」により、さらなる加速が見込まれる。中小企業は遅れず対応することが必要。
〇コロナ禍の収束とともにデジタル化の取り組みが低調になることのないよう後押しが必要。行政デジタル化を含む環境変化への対応を中小企業に促すことも重要。
1.コロナ禍で進み始めたデジタル化の動きの加速
〇コロナ禍で進んだ中小企業のデジタル化が、コロナ禍の収束とともに低調にならないよう、「何のためにデジタル化を行うか」を明らかにする「デジタルビジョン(仮称)」の策定。オンライン会議・テレワーク・EC等の推進に向けたIT導入補助金等の継続・拡充。身の丈IoT・AIの導入支援。苦境にある飲食・宿泊・観光業等への重点支援。民間の顕彰制度への支援。
2.デジタル人材の活用・育成
〇専門家派遣の継続・拡充。大企業の副業・兼業・OB人材を活用する仕組みの構築。専門家やベンダと円滑に意思疎通できる人材の育成。地域におけるデジタル人材の育成・確保。商工会議所経営指導員向け教育の充実。商工会議所のデジタル化支援。
3.デジタル庁主導によるデジタル社会の速やかな形成
〇受発注のデジタル化に向けた異なるEDI(電子データ交換)の接続の仕組み(産業データ連携基盤)の構築。中小企業共通EDIの推進。行政デジタル化に伴う電子申請のサポート・手続き簡素化。マイナンバーカードの災害対応機能拡充とワンカード化加速。
4.地域課題の解決に向けてデジタル技術を活用する取組みの促進
〇商業の衰退など地域課題の解決に向けたデジタル技術の活用に対する補助。5Gの前提となる基地局や光ファイバー等の全国的整備の促進。ローカル5Gの開発実証を踏まえた中小企業が利用しやすい利用モデルの提供。
5.サイバーセキュリティ対策
〇サイバーセキュリティお助け隊サービスの普及に向けた支援。SECURITY ACTION取得企業の拡大に向けた
措置。2025年大阪・関西万博に向けたサイバーセキュリティ対策の強化。
詳細につきましては下記資料をご覧ください。
牧島かれんデジタル大臣(左)へ、意見書を手交する岩本敏男日本商工会議所IoT・AI・ロボット活用専門委員長(右)