提言書「地域の観光産業がコロナ禍を乗り越え、前に進むために」を公表

　日本商工会議所は11月10日、提言書「地域の観光産業がコロナ禍を乗り越え、前に進むために」を取りまとめました。

　本提言書は、新型コロナウイルス感染症により、極めて厳しい経営環境に置かれている観光関連産業や地域への十分な支援と、その先を見据えた地方創生実現の柱としての観光振興に必要な事項をとりまとめたものです。当所としては、本提言の実現に向け関係各所に働きかけを行うとともに、今後とも地域の観光振興に積極的に取り組んでまいります。

  

＜概要＞

　コロナ禍により、国内外の旅行・観光需要が蒸発し、地域の様々な祭りやイベント等に伴う消費が消失するなど、全国の観光産業はこれまでにない危機に直面した。観光事業者は各種融資や助成金・給付金などを最大限活用して生き残りや雇用維持のために必死の努力をしているが、広く旅行・観光需要が回復しない限り事業継続が難しくなる懸念がある。

　GoToキャンペーン事業が一定の経済効果を生み出しているものの、単価の高い宿泊施設への需要の偏りや大都市に比した地方での利用の伸び悩み、さらには事業者の参加手続き等の課題も指摘されており、施策の効果を全国各地に浸透させるための不断の改善が求められる。

　他方、観光事業者には、売上が十分に回復しない中でも事業継続に向けた経営戦略を考えることが求められる。そのための事業者の前向きな投資等に対して政府による強力な政策支援が必要である。

　今後、国際的な人の往来が増加することに対応し、入国時の検査体制拡充や訪日外国人の感染対策をはじめ東京オリンピック・パラリンピックの実現に向けた環境整備を図っていくことが重要である。

　上記を踏まえ、地域の観光産業がコロナ禍を乗り越え、前に進むために、次のとおり提言・要望するものである。

 

〔１〕GoToキャンペーン事業の期間延長と地方への誘客重視を　

　　GoToキャンペーン事業等の継続・拡充、地方・中小宿泊事業者への誘客促進　等

〔２〕観光事業者の感染対策支援、ルールの啓発強化、感染データの検証　

　　感染拡大防止対策の普及徹底とその支援、旅のエチケットの国民的理解の啓発強化　等

〔３〕国際往来の促進と東京2020大会に向けた感染拡大防止対策の徹底

　　訪日外国人の入国時検査の拡充および滞在中の感染対策強化、検査等証明書の世界標準化　等

〔４〕地方におけるネットの活用やリモートワーク需要の取り込み促進

　　ＩＴ活用による新規サービス・プロモーション支援、ワーケーション推進と環境整備への支援　等

〔５〕観光誘客促進・事業継続のためのハード・ソフト両面の施策拡充

　　新規需要獲得に向けた宿泊施設等の改修促進、域内事業者連携による共存共栄促進　等

〔６〕地方分散の促進、旅行者の利便性向上に資する交通網の整備拡充

　　観光需要の地方分散に資する二次・三次交通網の整備拡充、交通機関間の有機的連携への支援　等

 

意見書全文は、以下のとおり。

　○提言書「地域の観光産業がコロナ禍を乗り越え、前に進むために」【PDF】