業況DIは、足踏み。先行きは慎重な見方残るも、緩やかな回復を見込む(LOBO調査2017年8月結果)
日本商工会議所が31日に発表した8月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果によると、8月の全産業合計の業況DIは、▲18.2と、前月から▲2.1ポイントの悪化。関東を中心とした記録的な長雨に伴う客足の減少や、農産物の不安定な出荷から、サービス業や卸売業、小売業の業況感が押し下げられた。また、人手不足の影響拡大や消費者の節約志向を指摘する声も多い。他方、電子部品、自動車関連の生産や、夏休みのインバウンド需要が好調に推移したほか、建設・設備投資の堅調な動きも続いている。中小企業の景況感は総じてみれば緩やかな回復基調が続くものの、足踏み状況となっている。
先行きについては、先行き見通しDIが▲16.4(今月比+1.8ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。輸出や設備投資の堅調な推移、インバウンドを含む観光需要の拡大に加え、公共工事の増加などへの期待感が伺える。他方、深刻な人手不足の影響拡大や、消費者の節約志向、運送費・原材料費の上昇、地政学的リスクなどを懸念する声が多く、中小企業においては先行きへの慎重な見方も続く。
項目別では、全産業合計の売上DIは▲13.4と、前月から悪化。産業別にみると、建設業で改善、その他の4業種で悪化した。
全産業合計の採算DIは▲15.3と、前月から悪化。産業別にみると、小売業、サービス業で悪化、その他の3業種でほぼ横ばい。
全産業合計の資金繰りDIは▲8.2と、前月から悪化。産業別にみると、建設業、卸売業、小売業で悪化、その他の2業種ではほぼ横ばい。
全産業合計の仕入単価DIは▲31.4と、前月からほぼ横ばい。産業別にみると、サービス業で改善、卸売業、小売業で悪化、その他の2業種でほぼ横ばい。
全産業合計の従業員DIは23.6と、前月から人手不足感が強まり、1991年11月(23.3)以来約26年ぶりの高水準となった。産業別にみると、建設業、卸売業、サービス業で人手不足感が強まった。その他の2業種ではほぼ横ばい。
なお、今月の付帯調査は、「東日本大震災後の電力料金の上昇による経営への影響」について実施。
詳細は、LOBO調査ホームページ(https://cci-lobo.jcci.or.jp/)を参照。