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【最新海外事情レポート】国際展示会と官民合同会議にみるカンボジアの期待(プノンペン)

「第11回カンボジア輸出入一州一品展示会」にみる日本製品・サービスへの期待

 

20161215日(木)から18日(日)の日程で、第11回カンボジア輸出入一州一品展示会がカンボジアの首都・プノンペンで開催された。カンボジア最大の国際展示会とされ、毎年3-4万人が来場する一大イベントである。ここにはカンボジア国内から集められたカンボジア産品に加え、日本をはじめ韓国、中国、タイ、ベトナムなどのナショナルパビリオンも出展され、カンボジア内外からの引き合いを待っている。


 

 

 

 

 

 

       

          

         

         スピーチを行うパン・ソラサック商業大臣

 

1215日のオープニングセレモニーにおいては、パン・ソラサック商業大臣がスピーチを行い、その中で各国の魅力的な商品やサービスのカンボジアへの普及と、カンボジア産品の販路拡大を訴え、輸出入双方向に成果が出ることを期待する発言があった。日本パビリオンはジェトロが管理運営し、2010年から出品している。スタート当初19社だった日本からの出品者は年々増加し、リピート出品者も多くあって今回は食品関連、美容関連、生活関連などの分野から26社が出品した。全体では250社程度がブースを構える中、展示会場の中心に位置して存在感を放っていた。

特筆すべきは、4日間トータルの商談件数および成約(見込み)件数が昨年の3倍以上になったことである。 同展示会は各国製品・サービスの普及啓蒙を目的のひとつに開催されているが、日本製品・サービスについては20146月のイオンモールオープン以降広く知れ渡るようになり、中間層の台頭もあって周知されるようになったことの表れと思われる。会場には、「日本製品がよいことは分かっていてほしいが、今はお金が無いので残念」と言いながら、韓国製のスマートホンを見せてくれた若者の姿もあった。日本の製品、サービスへの期待を感じた瞬間であった。

             来場者で賑わう日本パビリオン

 

「官民合同会議」にみる日本への期待

 

こういった背景の中、展示会開催に先立つ20161019日(水)、堀之内秀久・在カンボジア特命全権大使を筆頭とするオールジャパンと、ソク・チェンダ・カンボジア開発評議会大臣を筆頭とするカンボジア政府側が意見交換を行う場である「官民合同会議」が開催された。今回で13回目を迎える同会議は、従前よりジェトロが事務局を務めるカンボジア日本人商工会が中心となって日本側の意見を取りまとめ、投資環境の整備等を求めて提言を行って来たが、ここ数回においては提言を行う内容が変質していることが感じられる。

長期的な問題である電力供給問題(高い料金体系、頻発する停電)や最低賃金の急激な上昇といったテーマは継続的に提言を行うものの、最近は政府が環境法、労働組合法といった新しい法律の整備に着手していることを受け、これらの法律がカンボジアの実情に合った内容とされ、且つきちんと運用されることを求める提言を行うケースが増えている。ついては、カンボジアの産業の発展度合いに鑑みた内容とし、各法律に無理な運用が生じないように要望する提言を行ったが、カンボジア政府として日本からの提言を素直に聞き入れる姿勢を感じ、言い換えれば日本からの提言を「外圧」として利用し、政府内での調整を行っているようにも感じられた。

 

          官民合同会議での意見交換の様子

 

実は、この部分こそカンボジア政府が日本に期待している部分ではないだろうか。政府としても2015年から10年間の「産業発展政策」を打ち出し、労働集約型産業からの脱却を図っているところであるが、日系企業を代表する日本人商工会、その事務局を担うジェトロとしては、日系企業の活動に過度な影響が出ることの無いように注視し、引き続き政策提言等の実施機関としての役割を果たしていく所存である。

(カンボジア日本人商工会 事務局長 河野 将史)