【海外最新事情レポート】中国に来て驚いたこと「ベスト3」 (北京)
中国というと、人それぞれに様々なイメージがあると思う。さすがに人民服に自転車の波を思い浮かべる人はもう少ないだろうが、ニュースでドローンによる配達やAIの活用などを聞いても信じられる(信じたくない)人は多いだろう。
北京に来て8ヶ月が経ったが、中国に来て驚いたことを独断によりランキング形式で3つ挙げてみたい。
【第3位】顔認証
新疆ウイグル自治区の烏魯木斉(ウルムチ)に行ったときのこと。空港の保安検査場でパスポートを提出し、顔を照合し、荷物のチェックを行うのはまあ普通のこと。搭乗口では、搭乗券ではなく顔認証で文字通りの「顔パス」で搭乗手続きを行っていた。
顔を差し出すと、ゲートが開き自分の座席番号まで表示される仕組み。厳しいセキュリティが求められる搭乗手続きで顔認証を使うのは、技術に自信があるからか。身分証と顔を一致させてデータ収集し誰がどこに行ったかを記録している。自動販売機やコンビニの無人レジでの支払いにも顔認証は使われている。
中国はテンセントの微信(WeChat)やアリババの支付宝(アリペイ)などのキャッシュレス決裁が浸透している。一応法律で現金を受け取らなければならないとなっているが、在住の日本人を含め財布を持ち歩かない生活に慣れている。また、仕事での連絡も都市間移動やビルの出入りの際に必要な健康管理プログラムも微信を使う。ファストフード店での注文と支払いは、携帯で行うのが一般的。ラーメン屋でも自分の席にあるQRコードを読み取り注文と支払いを行うと料理が運ばれてくる。日本で例えると、国民全員がSNSの機能をフル活用し、支払いもすべて携帯、仕事では名刺交換代わりに初対面の人ともSNSのIDの交換、公的な連絡もグループチャットで行うといったところか。LINEの連絡先が27人しかいない私でも微信には300人以上登録、グループチャットのメンバーを含めると1,000人以上の繋がりがある。微信にはInstagram的な機能もあるので、仕事関連の人や1回しか会ったことがない人の趣味や休日の様子を見ることにもなる。技術的には今の日本でもできるはずだが、日本人には心理的な面で抵抗が強く、なかなかできないだろう。
すべてをスマホで行う生活は、便利な半面、なくしたり、壊したりするとそれは即生活ができなくなることを意味する。
携帯電話に14日以内に訪問
した都市が表示され、
入館時にチェックされる
【第1位】高鉄
中国版新幹線、高速鉄道のこと。新幹線は日本のお家芸であり、中国の新幹線は「事故が起きてもすぐ埋めてなかったことにするもの」という穿ったイメージがあったが、素直に驚いた。
まず、路線が国内に縦横無尽に巡らされ、列車ごとに行く方向も路線も停車駅も異なるということ。北京からだと国内主要都市はだいたい乗り換えなしで行ける。運行も数分間隔であり、遅延も少なく日本とも変わらない。駅は空港のように大きく、入場するにはセキュリティチェックもある。完全指定席で列車ごとに改札口が異なるので、乗り方も飛行機みたいだ。ホームで別の列車に乗り換えることはできない。時速350kmで走るので広い中国大陸も狭くなる。北京-上海間1,300kmが最速で4時間18分。チケットはネットで購入でき、改札口に身分証やパスポートをかざして入るので紙の切符は不要。改札は顔認証機能もあるので、他人の身分証では乗ることが出来ない。
ちなみに4位はシェア自転車、5位はトイレを選びました。
高鉄路線図の一部 列車ごとに改札口が異なり発車3分前に
この路線の全部が高速鉄道 入場が締め切らる
中国の鉄道駅は空港のようだ。 やっぱり新幹線に似ている
北京朝陽駅
(中国日本商会 事務局長 松岡 鉄也)