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【海外最新事情レポート】2021年の上海の経済発展重点分野(上海)

 2020年の世界経済は新型コロナの感染拡大により大きな落ち込みを見せた中で、中国は徹底した感染防止対策と内需刺激策などにより、プラス成長を実現した。上海市では、2020年のビジネス情況を総括する「2021上海商務情況通報会(以下、報告会)」が2月24日に市内のホテルで開催された。報告会は、各国総領事館、商会組織向けであり、中国語・英語・日本語で同時通訳され、また、感染防止対策から参加者は事前にPCR検査の陰性証明と健康状況報告書の提出を求められた。例年であれば、300名以上が参加し、2時間以上の報告会であるが、今回は市内各区政府の分会場や企業のオフィスからオンラインで参加する視聴者にも配信され、例年よりも短縮された1時間の報告会であった。

 

2020年の成果

 上海市宗明副市長が参加し、市政府の顧洪輝副秘書長の司会で開会した報告会は、市商務委員会党組の顧軍書記による商務情況報告で始まった。

 2020年は新型コロナの感染拡大の影響により、大変厳しい状況となったが、予想以上の成果になったと2020年は総括された。2020年の外国からの投資は、前年比6.2%増の202億米ドルで過去最高となり、ハイテク産業が最も重要な成長となったとのこと。上海では多国籍企業の51の新しい地域本部と20の外国のR&Dセンターが設置され、20年末までに地域本部は771、R&Dセンターは481に達した。また、日本、シンガポール、韓国などの主要な国からの投資はプラス成長を達成したと報告された。

 

上海商務情況通報会の様子.jpg上海商務情況通報会の様子

 

2021年の重点事業

 2021年の上海は新たな発展段階を迎え、新しい理念を追求すると説明があり、新サービス構造、全世界の資源配置、革新的な科学技術、ハイエンド産業を強化するとともに、国際経済、金融、貿易、航運とイノベーションセンターの5つの中心を深化させる。また、都市の核心的競争力をアップグレードして、第14次5か年計画の経済社会の発展を良好にスタートできるよう努力するとのこと。

 さらに、内需拡大に向けた消費市場の具体的な活性化策として、二度目の五五節イベント(消費刺激イベント)、ブランドによるハイレベル消費やナイトエコノミーの拡大、商業ランドマークの建設を実施する。貿易面では、多元的な市場を創設し、サービス貿易を拡大、オフショアの新型貿易を採り入れ、投資環境面では、開放レベルの拡大、本社・本部の投資誘致、企業向けサービスの提供をしていくとのことである。

 

第4回輸入博

 コロナ下で開催された第3回輸入博では、来場者数は大幅に減少したが、成約意向額では第2回を2.1%上回った。第4回輸入博では、第3回を上回る成果を上げて双循環の具体化と都市プロモーションを実施するとのことである。第4回は2021年11月5日から10日まで開催される予定である。 

 

第3回輸入博のJETROブース.jpg第3回輸入博のJETROブースの様子

 

最後に

 3月5日には全人代が開幕し、第14次5ヶ年計画と2035年までの長期目標要綱が審査される。報告会では、上海市の2020年の輝かしい成果と2021年の野心的な計画が披露された印象であり、中国経済をリードする上海市の自信とプレッシャーが垣間見える報告会であったと思う。

 

(上海日本商工クラブ 事務局長 中村 仁)