【海外最新事情レポート】新型コロナ感染と戦う香港 2021年(香港)
香港の経済は、未曽有の落ち込みを記録している。GDPで見ると、抗議活動で社会が揺れた2019年 (▲1.2%)、 新型コロナウイルス感染症との戦いが続いた2020年(▲6.1%)と2年連続の苦境に直面した。昨年は、アジア通貨危機直後の1998年(▲5.9%)を超えて最悪の年となった。中国経済の回復とともに輸出が伸びるなど明るい兆しは出ています。中国企業の香港における上場増大も金融市場には明るい材料である。続く入境制限がサービス、旅行・航空、小売業に甚大な影響を与えている状況は他国と同じでしょう。
以上の環境下、在香港日本国総領事館、ジェトロと共同でおこなう「香港を取り巻くビジネス環境にかかわるアンケート調査」を四半期ごとに当所会員を含めて発表している。本年1月末に発表された第6回目の調査結果は、下記リンクhttps://www.jetro.go.jp/world/reports/2020/01/a11211c3d1c4dd5d.htmlをご覧ください。
多くの会員が懸念している本社と香港現場との認識ギャップを今回は調査に取り入れました。結果報告の37番目のスライド、即ち質問は、【本社が香港の実情を悲観的に認識している要因】に対して、複数回答の109社では、62.4%が「日本国内での報道が悲観的過ぎるから」、56.9%が「過去のデモ・抗議活動に関連したイメージが残っているから」を挙げた。【本社が悲観的に認識することのビジネスへの影響】としては、複数回答の73社で、58.9%が「拠点縮小の検討を指示されたり、促されたりしている」を挙げた。香港独自の問題として当所は今後とも情報発信が必要と捉えている。
ジェトロの【地域・分析レポート(海外ビジネス情報)】に「香港拠点の位置づけに冷静な経営判断を」と題して掲載されている。詳細はリンクhttps://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/938689db9148405e.html をご覧ください。
さて2月1日時点、コロナ感染の合計症例10,487名、9,474名は退院済み、182名死亡。この1週間の感染者は日に50名を切る状況までになってきた。ただ約3分の1の感染者は感染源が不明。香港政府は2月12日からの旧正月連休を前に対策を強化。例えば、感染経路不明な症例が出たり、下水からウイルスが検出されたりしたビルや限定地区では、感染が拡大の恐れが高いとして、強制PCR検査を開始。極めて限定された地域に、抜き打ちで警察や移動PCR検査チームが出向き、最近では夜から翌早朝まで12時間程度封鎖して強制検査を実施している。
現在も続いている主な制限措置は以下です。
・レストラン等は、飲食店:午後6時~午前5時の店内飲食禁止。他の時間帯1テーブル卓2名までの制限。【~2月17日まで延長中】
・マスクは、屋内外公共場所や交通機関内では着用の義務。【~2月17日まで延長中】
・公共の場所では2人までしか集まれない。【~2月17日まで延長中】
・海外から香港へ入境する香港居民は、入境後指定ホテルで21日間の強制検疫。【3月31日まで延長中】
いずれも違反すると罰金や懲役刑が科せられる。
以上の情報は、当所の全会員に日々発信続けて既に1年が経過した。香港のコロナ感染数が14日間で10名以下になり、中国本土との入境制限が解除される日をビジネス界は待ち望んでいる。午後6時以降にレスランで飲食が出来る日も待ち望まれる。
(香港政府による限定地域での強制PCR検査 於 北角地区1月29日 政府新聞網)
(香港日本人商工会議所 事務局長 柳生 政一)